9. 公表値はいつも少ない
外資・外資系に買収された森林の最新値(2024年8月公表)は全国で10,079ヘクタール(06~23年の累計;山手線内側の1.7倍)、同農地の最新値は158ヘクタール(17~23年の累計;皇居の1.4倍)でした。
ただ、農水省は全ての売買を捕捉できていません。昨今、コメ不足で話題になっている農地の場合、特に大きくズレています。実際に買われた農地は2桁以上も多く、1万5000ヘクタールをはるかに超えていると推定してします。
筆者が入手した情報(自民党総合農林政策調査会2022年)によると、北関東の某県には外国人(外国籍を有する者等)が所有権・賃貸借権を有するとみられる農地が、1県だけで4,783ヘクタール(21年)もあります。このうち中国籍の者が3,728ヘクタール(全体の77.9%)を取得しており、残りはスリランカ籍の者が255ヘクタール(同5.3%)、マレーシア籍の者が220ヘクタール(同4.6%)でした。
もし離農者が目立つ北海道や東北地方を丹念に調べていくと、外資買収の農地は2桁以上多く、数万ヘクタール(158ヘクタールの100倍)くらいになるのではないでしょうか。あまりに少ない政府数値では対策を遅らせたり、ミスリードしかねません。全都道府県の農業委員会データ(市町村単位)の集計作業が必要と思われます。
とはいうものの、農林地はまだ統計値があるだけ「まし」です。
宅地、リゾート地、再エネ用地、離島――などについては統計すらありません。「問題の所在さえわからない」から規制もできないわけです。
遅ればせながら、2025年6月、自民党は「外国人との共生社会に関する自民党特命委員会」提言を受け、実態把握とデータ整備の必要性を公約に盛り込みました。でもまだ「調査する」と決めただけです。
外資買収から18年――。動き出した日本のすがたがこれでは未来は危ういです。

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