12. 麻薬と土地
サントリーホールディングス(HD)会長の新浪剛史氏は大麻疑惑で会長職を辞任しましたが、世界を行き来する中で、国によって「麻薬」のとり扱いが違うことを痛感していたことでしょう。
「土地」のとり扱いも国によって大いに異なります。
日本は米国に比べると、「麻薬」に厳しく、「土地」に甘いです。
日本不動産は売買規制がゆるゆるで、世界一甘いから人気です。
日本不動産の人気の理由は、a.円安と利回りの良さ、b.カントリーリスクの低さ、c.売買自由(規制ゼロ)の三つですが、最後のc.は、10年以上も前から世界に知れわたっている日本不動産の最大の「推し」です。
土地所有権が強い(たぶん世界一)というのも魅力です。
憲法第29条によって個人の財産権が手厚く守られ、その権利は外国人がもつ国内財産(土地)にも当てはまります。利用規制も大甘で、日本では「公共の福祉・利益」と「所有者の不利益」が対立し、民事訴訟でしばしば公共が負けます。この29条が効いているからです。だから外国人は日本を買いたがり、力をつけてきています。
すでに手遅れの様子で、課題も出てきています。
少し前ですが、都心マンションの管理組合の集まりでこんな発言もありました。
「中国人が多いのだから中国語でやってくれ」
事務局は何とかとりなして日本語で進行したそうですが、マンション住民の総会・理事会が中国語になっていくのは、時間の問題でしょう。
外資の爆買いは今も進んでいて、民間(三菱UFJ信託銀行)がデベロッパー業界へ問い合わせしたところ、外国人が不動産取引全体の2~4割(2024年下期)を占めていたことがわかりました。外国人はダミーを使って買うケースもありますから、実際の外資買収比率はもっと高いでしょう。
ニュージーランドやカナダではここ10年、中国人の爆買いによる宅地高騰が問題となり、政府は外資規制を導入しました。でも日本では今年5月、国交省が高騰要因の調査を「はじめて実施する」ことにしただけで、15年以上経ても、規制は大甘のままです。
