11. 植物の聴覚
音に反応するセンサー付きの花が売られています。くねくねと踊るサングラスをかけたダンシングフラワー(踊るひまわりおもちゃ)ですが、それとまるで同じ植物があります。
マイハギ(舞萩:Codariocalyx motorius (Houtt.)h.Ohashi)という低木です。
ムクナ豆は北インド、ネパールが原産地ですが、同じくマメ科のマイハギは、東インド、スリランカ、フィリピンが原産地です。マイハギは音に反応し、肉眼で見えるスピードでゆっくりと旋回したり、手旗信号のように小葉を上げ下げします。どこかに音を感知するセンサーでも付いているみたいです。
そんな可愛いマイハギの栽培キットは以前から販売されていて、私も3年間ほど職場で栽培したことがあります。マイハギは、女性や子供の高い音によく反応し、スマホの着信音にも反応します。
マイハギは唐の『酉陽雑俎(ゆうようざっそ:860年頃)』にも”無風独揺草”という名で記載されています。中国雲南省西双版納屋(シーサンパンナ)では、少数民族タイ族の少女合唱団の歌に合わせて、ひらひらと先端部の小さな葉っぱを廻しはじめます。インドの農民はこの舞いを「葉っぱを蛇のように躍らせる」と表現します。
5億年を超える歴史の中で、植物は自ら生き伸びていくために、また不足栄養素を補うためにこういった特性をもつようになったのでしょう。その能力は長い年月の進化と淘汰の繰り返しによって培われてきたもので、何かの意味をもつのでしょうが、なぜマイハギが音に反応するのか?不明なところがまだあるようです。
この先も植物がもつ潜在的な能力を見つけ出し、注意深く安全に私たちの体に取り込んでいくことで、一人ひとりの健康増進と維持に役立てることができればと思います。
