13. 外資買収の傾向と対策
日本の土地買収がオールフリーであることは、10年以上前から知れ渡っています。
ロンドン大学(LSE GREG)が発行した『アジア太平洋不動産投資ガイド2011』にはこう明記されています。
――「不動産投資に外資規制が『皆無』なのは、日本だけである」
野放図なままでいいわけはありません。
長く外資買収を見てきて、規制強化が必要だという理由は次の三つです。
1.外国人土地所有は「→所有者不明化→税金未払い」が避けられない。国外居住者がもつ不動産の固定資産税、不動産取得税、所得税、相続税等は徴税コストのかかり増しが避けられず、徴税率が低く※1なって、ガバナンス不全につながる。まじめに支払う国内人との逆差別が生まれる。
2.安全保障上の問題が出てくる。防衛施設や原発周辺、離島等が外国人に買収されると、ドローン基地や通電遮断、武器の隠蔽等の工作・監視・破壊拠点になり得る。
3.国土から生み出される将来の果実(収益)や成長の芽、次世代がもつべき主導権を失ってしまう。公共事業(災害復旧等)の執行妨害、再エネ機材放置、産廃投棄等も懸念される。
やはり、外資を迎え入れるためのルールをつくってから呼び込むというのが筋でしょう。
課題山積ですが、期待する今後の対策は次のとおりです。
武張った外国人対策は聞いててスカッとしますが、国内に反発する勢力も増やしてしまいこじらせて事態は解決しません。国籍だけに拘っていても外資の買収手法はより巧妙になって潜伏化するケースが後を絶ちません。
例えば10年前までは香港やケイマン諸島等所在の外資名で登記されていましたが、再エネバブル以降はその手法は減りました。上海電力や復星集団(トマム)は日本のSPC等(合同会社、TMK等の日本法人)をフロント企業にもってきています。
政府はむしろ「当たり前の管理」の話として、土地の「所有者不明化防止」の観点から対策の根拠となる法制化を急ぎ、予算とマンパワーが相伴った情報管理体制の構築を急いでほしいです。国内人・国外人は居所・制度が違うので、ガバナンスが平等※2になっていません。実質的な支配者が秘匿されないよう登記情報に連動した不動産所有者の把握システム等が必要です。
現在特に、納税、警察・公安の維持等の面でガバナンスが緩んできています。国家の経済政策として自由なグローバル化をいうなら、国家主権の行使の面においてもグローバル化対応にしていくべきだと思います。

※1 大阪市の海外向け督促状は1900件➡3272件(18年➡20年)と1.7倍に増えた。不能欠損処分額(外国人所有由来)は増え続けているはずだが、税目別データは国も自治体も公表していない。
※2 ガバナンスの担い手が減少していく中、主権の行使(徴税、警察、公安等)において、国内人に比べてコスト増が避けられない国外人をカバーすることはより難しくなっていきます。