14. 植物の触覚
オジギソウ(マメ科)がもつ触覚はわかりやすいです。
ちょっと触られただけで、デッキチェアの列が将棋倒しになるみたいに小さな葉っぱはばったりとうなだれます。その反応は0.1秒後にはじまり、3~4秒後に終わります。葉っぱを傷つけたり、焼いたりすれば大変で、すべての葉っぱが雨傘をたたむように閉じて、一本の軸になってしまいます。オジギソウにしてみれば、葉っぱを動物や虫たちに食べられたくないのでしょう。
攻撃的な植物もあります。
ハエトリ草(ハエジゴク)は、10センチほどの貝殻みたいな2枚の葉をもっていて、この触覚センサーは20秒以内で2度以上の接触があると、ばね仕掛けみたいにすばやく閉じます。葉っぱのふちについたフォークのような突起は鉄格子や肉食動物の牙のようです。
捕らえられたハエが動けば動くほど、罠は興奮するのか、より堅く閉じていきます。ハエは葉っぱからにじみ出てくる塩酸をたっぷり含んだ消化液によって溶かされていきます。
モウセンゴケも恐ろしいです。葉っぱの表面には無数の触糸があり、長いもので1.5センチメートルもあります。その先にキラキラ光るビーズのような粘液がついていて、その輝きに誘われて虫たちがやってきますが、触れば最後。ねばねばした液から逃れられません。虫が暴れ出すと、虫が触れていない触糸も獲物の方へ近づき、そうこうしているうちに全部の触糸が獲物にかぶさるように包み込んでしまいます。
植物のつるは触覚が頼りです。
巻きつき方は種類によってまちまちで、フジやスイカズラは右巻きで、アサガオやアケビは左巻き(上からみて反時計回り)です。
ムクナ豆(ハッショウマメ)は左巻きです。より多くの光を求めて、木々や支柱に巻きつき、生長していきます。
