15. 迷走は不可避――メガソーラー規制の省庁連絡会議
環境省のふらつきが心配です。
2025年9月24日に初めて行われた会議の名称は、「太陽光発電事業の更なる地域共生・規律強化に向けた関係省庁連絡会議※1」。
環境省とエネ庁が事務局で、他の構成メンバーは文化庁、農水省、林野庁、経産省、国交省です。初会合に出席したのは環境大臣、自民党環境部会長の高橋はるみ氏(元経産省、前北海道知事)、釧路市長でした。
この会議を設置した理由は、釧路湿原のタンチョウ鶴が生息する場所でメガソーラー工事がはじまり、大騒ぎになったからです。反再エネ、反メガソーラーの声で盛り上がり、野口健、つるの剛士も参戦しました。倶知安で同じ頃、外資の違法開発が発覚したことも騒ぎを増幅させました。
「一つ、ここらへんでガス抜きをしておく必要がある……」
政府はそう読んで連絡会議をはじめたと思われます。
長年筆者はメガソーラーを憂えてきましたが、率直な感想は「何を今さら」です。
平地面積当たりの太陽光発電の導入量は、すでに日本はドイツの2倍(IEA,20年※2)で世界一。
この先、再エネ業者に対し、遡及して許認可を取り消すことなどないでしょうから、この期に及んでソーラー開発の規制を強化したとて影響はわずかと思われます。
それにこの地域共生連絡会議は、会議の名前からして――「更なる地域共生・規律強化に向けた…」と難解です。事務局の気合不足で錯綜しながら迷走・低空飛行するのは必至でしょう。
今後、「地域共生連絡会議」は経産省主導で数回開かれ、徐々に開催頻度を減らしながら、世間(報道陣)のほとぼりが冷める頃を待ち、半年か一年後にそろっと中間報告?を出してフェードアウト…しかねません。結末は、反メガソーラー派から見ると辛いものになるでしょう。
本当は「強烈な新法」を期待したいのですが。

※1 メガソーラー規制強化で関係省庁会議、24日初会合 自民・古屋圭司氏「条例では不十分」 – 産経ニュース
※2 IEA(国際エネルギー機関)「Solar PV Global Supply Chains」による。
