18. やっとはじめた実態調査――重要土地等調査法の改正準備
外国人による住宅の爆買いは日本だけではない。
全米中古住宅販売件数のうち、外国人による購入は1年間で7万8100戸(2024.4.1~25.3.31)で、全戸数の2%を占めた。そのうちの15%が中国人だった。2%×0.15=0.3%だが、米国内では警戒感が高まった。「外国人の購入増が安全保障面での不安をかき立てる。住宅価格高騰の一因にもなる」と。結果、外国人の不動産保有規制の法案(州法)が54件可決され、全米50州のうち6割に当たる30州で適用されている※1。
韓国政府は今夏、ソウルと周辺地域に「外国人の土地取引規制区域」を指定する方針を公表(2025.8.21)した※2。①購入許可後、4か月以内に入居すること、②最低2年間は居住することを義務付ける。直接の現場点検による確認も行う。外国人による活発な買収を国民が批判したことを受けての措置だった。
一帯一路(2013年)が宣言されて以降、カナダやオーストラリア、ニュージーランドで外国人の住宅取得を次々と規制強化していった。カナダでは現在、外国人の住宅購入は禁止されている。
しかし、日本は依然として取引規制はゼロだ。開けっぱなしで世界標準を無視し続けている。
東京都心(千代田区、港区、渋谷区)の外国人によるマンション購入の割合は、デベロッパーへのアンケート調査(三菱UFJ信託銀行)によると、ついに20~40%になった。先に述べた米国のほぼ100倍である。
民間から先にそういう数字が出されたから国交省は堪らない。さすがにマズいと思ったか、2025年5月、後追いで外国人投資の実態調査(都内マンションの調査)をはじめることにした。併せて政府はカナダ、ドイツ、韓国、台湾の住宅地、農地などの不動産全般について、法制度の実態も調査※3も行い、今年度中にまとめる予定だという。
万事が手遅れとならぬよう、また2027年に見直されるかもしれない「重要土地等調査法」の改正に有効な作業になってほしい。
※注1 全米不動産協会(NAR)調べで、統計期間は2024年4月~25年3月(日経新聞2025.9.9)
※注2 産経新聞2025.8.21
※注3 読売新聞2025.10.13

