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国土資源総研レポート

19. 外資規制は進むか?――「連立政権合意書」vs.「18閣僚への指示書」

新内閣の支持率は高く、外資による国土の爆買いには規制が進むと思っている方も多いでしょう。連立を組む「日本維新の会」は公明党とは異なるスタンスですので、少し風向きが変わることに期待したいです。維新の会は二年連続(2023、2024年)で国民民主党と組み、「外国人土地取得規制法案」を衆議院へ提出しています。自民党と交わした「連立政権合意書」(10月20日)では、こう記されています(下線部筆者)。

七.食料安全保障・国土政策 ▽……26年通常国会において、大規模太陽光発電所(メガソーラー)を法的に規制する施策を実行する。

九.人口政策および外国人政策 ▽26年通常国会で、対日外国投資委員会(日本版CFIUS)の創設を目指す。また、26年通常国会で、外国人および外国資本による土地取得規制を強化する法案を策定する。

一方で翌21日、高市早苗首相は内閣発足にあたり、「閣僚18人への指示書」を出しました(外資買収関係分のみ抜粋)。

平口法務大臣、茂木外務大臣、金子国交大臣、小泉防衛大臣、赤間国家公安委員長(5者へ共通)

・我が国の領土・領海・領空の警戒監視について、関係大臣と緊密に連携し、緊張感を持って、情報収集を行うとともに、事態に応じて我が国の法令に基づき適切に対処する。

→鈴木農水大臣

なし

→石原環境大臣

なし

小野田経済安全保障大臣

・関係大臣と協力して、重要土地等調査法に基づく調査等を着実に実施するとともに、法の執行状況や安全保障を巡る内外の情勢等を見極めた上で、更なる検討を進める。

・関係大臣と協力して、国・地方自治体の情報連携や制度の適正利用、国土の適切な利用・管理など、外国人との秩序ある共生社会に向けた施策を総合的に推進する。そのために、必要な推進体制の強化を図る。

温度差を感じませんか?合意書指示書では違いますよね。

合意書には期限(26年通常国会)を明記し、「外資の土地取得規制をやる」と書いてあります。「調査ではなく売買(取得)の規制法を策定する」としています。でも指示書では「検討」です。霞が関用語の検討は「何もしない」ことを含みます。「共生社会…を強化」とも指示されています。

この違いから生まれる来年の取組を筆者はこう予測します。

新内閣は2026年、重要土地等調査法(2021年成立)の附則に書かれた「5年後の見直し」は行います。でも最低限の作業(検討+微修正、検討+修正なし)にとどまる可能性が否定できません。

高市内閣がこのテーマに及び腰になる理由は、回を改めます。

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