私たちの大志Our Vision & Voices

国土資源総研レポート

20. ホリエモンの主張

国土資源総研レポート11で外資による土地買収の擁護派の話題を取り上げましたが、その一人の堀江貴文氏(ホリエモン)の主張を紹介します。同氏はこういいます。

“かりに国防動員法によって日本の土地が中国のものになったとしよう。だが、それは日本にある、日本の土地であることに変わりはない。統治権は日本にあるのであり、中国から離れた日本の土地を、中国政府が支配することはできない。…今後水不足になって水源地が必要になれば中国人から買い戻せばいい。いざとなれば、日本の法改正を行い、外国人による水源地の利用を制限することだって可能だ。…自衛隊基地周辺や水源地、離島などは、日本人も買わないような二束三文の土地も多い。そんな土地を中国人が買ってくれ、しかも税金まで払ってくれるのだ。…大いに買ってもらえばよいではないか。”(2023.8.11 PRESIDENT Online)

外資の土地買収を大歓迎していますが、ここにきて北海道倶知安町の違法開発(国土資源総研レポート11)や税金未徴収の問題が出てきました。でも公的リアクションは無力なままです。山口県笠佐島の離島買収の問題も出てきました。いつまでも”買いたいだけ買わせておけばいい”のでしょうか?

「土地を単なる商品とみなし、高く売り抜ければよい」「いざとなったら日本国はちゃんとできる」とする考え方が外資擁護派ですが、筆者は規制強化派です。

現行制度だと地権者の了解(yes)がないと、①道路の新設や災害復旧工事はできませんし、②産廃投棄の現場になってしまっても自治体はなかなか手出しができません。土地は公共財の側面があるのですが、国際的な所有者不明にしてしまうと、今の日本の制度では手に負えません。不作為による放置が関の山です。

外資規制が必要な理由は、国土資源総研レポート13で要約(三点)しています。

加えて日本の地権者は「世界一」強いから一層まずいのです。日本の土地情報基盤の弱さがそのまずさを倍増させています。

例えば、隣地との境界確定ができている比率は国土の53%しかありません。下表のとおり大都市ほど遅れていて、京都8%、大阪10%、神奈川15%、東京25%です。全土を確定(進捗率100%)させるには後100年以上はかかるでしょう。

もし境界争いが起こったとき、声の大きい者が勝ってしまうというルール※1になっています。

訴訟に持ち込まれたら、あなたは弁護士料をとことん払えますか?

日本人は、いざとなれば国家がバックに付いてくれる外国人と争って勝てますか?

※注1 『日本、買います』(新潮社2012年)

地籍調査進捗率(国交省 2025.3.31)