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国土資源総研レポート

25. 登記名義だけで外資と言うな!

外資による森林買収は、主として登記情報をベースに外資(外国人含む)か否かを都道府県と林野庁が推定し、最終的に政府として公表※1されてきました。

でもここにきて、これらの公表データを端折って「外資(外国人含む)買収の確認データ」だとは言ってはいけない雲行きになってきました。少なくとも国会では。

正しくは「外資と思われる者が取得した森林データ」と、正確に前提をことわって言い直さなければならなくなってきたようです。

きっかけは2025年12月3日、笠佐島の一部を中国資本が取得したことに関して、「当地の登記簿情報の住所・氏名とだけでは国籍はわからず、政府が確認した事実とはならない」旨の野党議員の指摘があり、小野田紀美外国人共生担当相はあっさり認めたことにあります。

立憲民主党桜井周囲議員曰く、「不動産登記では所有者の国籍が分からないから外国人に土地を奪われているのではないのか、という疑心暗鬼が広がっている」「(政府が)確認できていないことを『事実として承知』というふうに大臣が答弁してしまったことは、……偽情報の氾濫などによる社会不安を助長するリスクもある」

この指摘に対し、小野田大臣は「登記簿を事務方が確認した際に、住所と氏名から中国国籍のものと考え、答弁用の資料を作成した。本来なら、『報道は承知している』とすべきだった」と答弁を訂正しました。

簡単に言うと、登記だけでは国籍が分からないから【事実】であると決めつけてはいけない。疑心暗鬼を広げる元凶になってしまうということをほぼ是認したわけです。

でも、この先もし「所有者(個人・法人)の国籍を確認できない限り、外国人・外資による買収があったことは事実とは言ってはならない」となると、今後一般人(研究者含む)の指摘や報道はすべて未確定なもので、流言飛語と同じ括りになってしまいます。

個人情報の管理が厳しくなっていく中、①国籍が記載された住民票や在留者名簿は理由がなければ見ることはできませんし、②登記に義務付けられる予定の国籍が記載された文書も役所内限りで、非公表になるそうですから知ることはできません。公的機関以外で土地所有者の国籍確認をしようとすると、そのハードルは高くとても難儀することになります。

「外資、外資とひつこく言うな」

「登記だけでは不確かなんだから、右翼たちよ、それを根拠に騒ぐな」

「国籍が明らかになるまでは外資買収などと軽々に言ってはならぬ」

――立憲民主党はこういいたかったのでしょう。

外資買収問題を人権問題みたいに腫物にしたがっています。

 

※1 林野庁「外国資本等による森林取得に関する調査の結果について」(2010~24年)

参照:国土資源総研レポート第9回(2025.8.18)及び第14回(2025.9.22)

笠佐島(上海市在住の中国人名の者が別荘用に島の最南端を買収した。その後開発し電線の敷設まで終えた)