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国土資源総研レポート

28.自治体が土地を買う――景勝地と水源地を護るため

北海道の鶴居村は、その名のとおり特別天然記念物のタンチョウ(鶴)が生息する村として知られています。このほど太陽光発電対策で村内の景勝地7.5haを購入することを決めました。購入費300万円は日本ナショナル・トラスト協会との折半で全国から集めた寄付金を充てます。

村内にはすでに40か所の太陽光発電所がありますが、条例などで守りきれない他の民有地についても交渉しています。人口2368人(2025.12)の小さな自治体がここまで動いています。

水がらみの問題でも深刻になってきました。

北海道京極町では、乱開発防止と水源維持のために11.6haの民有地を1億1600万円で購入することを決めました※2。当該地の水源の湧出量は推定1日3万7千~4万7千トン。隣接する倶知安町で今春、外資(中国資本)による都市計画法、森林法違反の無許可の乱開発(※参考:本レポート第11号)が発覚しましたが、これを受けて京極町として購入を議決したそうです。何としても防止したかったのでしょう。

同じく羊蹄山山麓のニセコ町では、上水道水を供給する町有地(水道水源保護地域)の所有権をめぐって町は係争中です。その土地の元の所有者から5億円の和解案を提示されています。ニセコ町では別の箇所でも、2010年以降、マレーシア資本がもつ上水道敷設地(二か所)の購入に手こずり、3年後、町として諦めた経緯がありました。

今後、大口開発が続き、水需要が増大していく自治体では、こういった問題がより顕在化していくでしょう。15年前、『外資が水資源を狙っている――奪われる日本の森』(2010年新潮社)を上梓したとき、筆者らは狼少年だと一部から言われました。今も「森を買うのは水源地などではない」との批判の声が残っています

でも昨今、こういった開発問題や訴訟が増えてきたことは事実です。起こっている事実を冷静に分析し、対策を強化していくことが必須です。

※1)北海道新聞2025.12.11
※2)北海道新聞2025.12.19

羊蹄山の湧き水(真狩村)