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国土資源総研レポート

3. 島が買われている

「国土資源総研」の研究員として筆者は、ときどき現地踏査に出かけます。

先ごろ、山口県の小さな島に一泊しました。島の名前は笠沙島。宮本常一の生誕の地、周防大島町にあります。6年前の人口は5人でしたが、今は3人になりました。皆、後期高齢者です。

この島が買われています。

2018年、島の西端の土地(4筆)を上海の方が買いました。今のルールだと日本では不動産売買は全く自由です。何ら制限はなく売買は合法です。ただ、すぐ前の海は岩国米軍基地へつながるチョークポイント(choke point)。対岸には中国系メガソーラーがあり、上空は嘉手納基地へ向かう米軍機の航路という要衝です。大丈夫でしょうか?

 すでに現在、島の半分以上を不動産会社が押さえていると同町内で聞きました。

2025年春、突如この島に山越えの道が拡幅開通しました。西端の別荘用地までは歩くと25分ですが、車で行けるようになりました。地元「中国電力」は当初、敷設を渋っていたそうですが、いずれかの権力が同社を動かしたのでしょう。

森は大きく伐開され、鋼製の電信柱が51本新設されました。耐摩耗電線の敷設も終わっています。総事業費は「億」を超えたでしょう。役場はお金を出していません。

この調子だと何年か経った後、この島は大半の土地を外国人が所有する別荘用の島となる可能性が高いです。笠沙島には日本人が入島できなくなるかもしれません。1日4便の定期船の運航はつづくのでしょうか?

でもどうも腑に落ちません。このままでよいとは思えません。

抜け落ちている視点があると思います。

笠沙島の外資買収地。前海は岩国米軍基地につながるチョークポイント。対岸に中国系メガソーラーがある。

※1 https://www.shinchosha.co.jp/book/610839/『日本はすでに侵略されている』新潮新書204頁
※2 https://www.kadokawa.co.jp/product/322112000930/『サイレント国土買収』角川新書59‐64頁、250‐252頁