6. 本気で取り組むのはどの政党? ─ 公約を比較してみた(その1)
先の参議院選(7.20)で外国人対策は大きな争点になりました。
各党公約を「外資の土地買収問題」に絞ってみるとこうなります。
自民党は「外国人による不動産取得について法令に基づいて厳格かつ毅然と対応※1」でした。要は〈新立法にはニュートラル〉。法令の運用を厳しくするだけで、〈新たな立法措置はしない〉とも読めます。
外資買収がはじまって18年目。この間、自民党は16年間も与党でしたが、つくったのはザル法(重要国土等調査法)1本だけです。さもありなんの公約です。現在、自民党政務調査会「安全保障と土地法制に関する特命員会(北村経夫委員長)」は休眠状態です。
公明党の公約は「投機的、不透明な不動産取引の規制強化を検討」。
外国人という単語が入っていませんから、推して知るべし。要は〈国内外差別はしない〉〈外資買収に対しては何もしない〉と読めます。現行の重要国土等調査法の創設時(2021年)、公明党は与党内調整において本法をザル法にしてしまった張本人※2だったので、この公約には納得できます。与党内にとどまる限り、本テーマでは足を引っ張り続けるでしょう。
維新(日本維新の会)の公約は、「安全保障上重要な区域における外国人・外資による土地取得に事前許可制と利用規制を導入」でした。かつて2013年、維新は「国家安全保障土地取引規制法案」を衆議院に提出したことがあり、筆者は一部関与しました。
2023年以降、国民民主党と共同して新法(外国人土地取得規制法案)を提出しており、今回の公約はこの内容をベースにしています。今後、本テーマに腰が入った(本気の)議員が維新に増えていくことを望みます。ただし、上海電力の日本で最初の事業用地を実質的に提供する※3など、足がかりを作るきっかけをつくったのが維新であった点に留意する必要があります。
※1「外国人による不動産取得を巡る主な政党の参院選公約」産経新聞2025.7.17
※2 JBpress (ジェイビープレス) 外資の土地取引規制、突如ブレーキの不可思議公明党が慎重姿勢、だが「低目の規制で手打ち」では意味がない 2021.3.18
※3 https://www.kadokawa.co.jp/product/322112000930/『サイレント国土買収』角川新書56‐59頁
